一人の人間が自身の住まいづくりを考える時、あるいはより社会に影響のある公共建物を建てるとき、建築行為をする上でどのような建物にするか、又、お金をどれくらいかけるか、この二つには必然性があります。前者の“どのような建物にするか”という言葉の中には、デザインのこと、機能間取りのこと、周辺環境のこと、文化的な視点のこと、法的なこと等々がこめられています。又、後者のお金をどれくらいかけるかという言葉の中には、経済的な妥当性や合理性のこと等々がこめられています。このことを施主の求めに応じ検討し、一体的に具現化することが設計という行為です。

そして、このことを専業としている設計事務所を専業設計事務所と称しております。
一方社会の中に目を移しますと、設計の他に施工も同時に行う兼業という形で設計行為をしている場合があります。専業設計事務所では、この設計行為を元に施工者決定への指導や工事監理も合せて行なっております。建築行為を経済活動という側面から見るとき、我々の様な設計と施工が分離した形と分離していない形が存在する日本の社会では、施主の求めに応じた専門家能力を最大限に発揮しながら建築の持つ文化性を社会に還元することを原点にしている“専業設計事務所”の活用が施主にとっても社会にとっても最良の選択であると考えられます。我々はこのことの為に、常に芸術的感性を養い、新しい知識や技術の修得に心がける努力や自由な立場の研鑚、倫理感の保持等を最も重要なことと考えております。そして、当協会活動の基本理念としております。